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広島市安佐動
剖検記事

①　つきのわぐま 雄 12年
病名 大動脈根部25mmの裂断
所属 井之頭自然文化園
経過 34年6月20日、午後2時50分頃突然うなり横臥し3時斃死する。栄養良好

②　だちよう 雌 推定12才
病名 (死因)右腰部複雑骨折
経過 6月3日早期に運動場に横臥し起立不能となっているのを発見し、直ちに寝室に収容し、腫腰部脹部にルステンを塗布し、擦過傷にはヨードチンキを塗布した。他に、ダンケルン、メタボリン、ブドー糖、カチーフ、アンナカなどを注射したが上記の状態であったために経過は早く、同日午後11時に斃死した。
この骨折は雄が求愛のため雌を追い収容台の木柵に激突したものか或いは求愛過度のため雄の腰部を蹴揚した結果の何れかと思われる。
主なる病変所見
外景　栄養状態は良好、左翼の挙上不能及び右腰部竝びに下腹部に雄の蹴揚によると思われる擦過傷を認めた。
内景
胸部　胸腔及び臓器に異常を認めず
腹部　腹腔内には悪臭ガスが充満していたが消化器系統には異常が認められなかった。卵巣には未熟卵黄の一部が腐敗したもの及び過去に産卵されずに吸収されたと思われるもの数箇認められ輸卵管内には産卵近い軟殻卵が1個残留していた。
患部　左上膊骨端部関節球の骨折及び右股関節周辺部、腰椎及び腸骨の一部に長さ約30種にわたる複雑骨折が認められ多量の出血と周囲の筋肉神経及び腱組織が破壊され後軀は完全麻痺状態となって居りこれが死因と診断した。

③　グラントしまうま 雄 推定5才
病名 日射病
所属 みさき動物園
経過 6月24日　午前9時30分頃、アフリカ園に収容のしまうま雄1頭が横臥しおるを発見、これを追うに歩様蹌踉、呼吸速迫日射病と診断し、寝室に収容せんとするも逃走して与わず、この間数回転倒す、最後に転倒の際頭部を強打し、午前10時15分遂に斃死せり(剖検の結果、日射病と確認す)然るに翌6月25日午前7時巡視の際、他のしまうま5頭何れも異状なきを認め調理作業中、午前9時30分しまうま雄1頭が運動場にて急死しおるを発見す。前日に引続き2頭の急死を見たるため念のため死体を大阪府立大学獣医学科家畜病理教室に送り剖検せり、大学よりの報告次の如し

病発解剖学的診断
1、上行、下行、結腸及び盲腸の著明な鬱血、更に粘膜及び粘膜下織の著明な浮腫(開腹時、上行下行、結腸は約90度、盲腸は180度捻転し、その下部の漿膜面は著しく鬱血していた)
2、皮下特に下部の浮腫
3、肝及び腎の軽度の溷氵虫
4、肺助膜の軽度の肥厚
5、胃の大口胃虫症
6、盲腸の硬口虫症

診断の理由、意見
以上の所見より本しまうまの死因は、結腸、盲腸の転位疝によるものと診断いたします。この転位疝を起す原因として日射病による苦悶によって惹起されたものと思われる。

④　あしかの死産児 (豊橋動物園)
〔親〕 雌…………昭和29年7月来園 体長約1.6m
雌…………昭和29年3月来園 体長約1.3m

1、分娩前日;〔動作〕雄は運動活潑で食慾も平日に変らず、蓄変は無かった。なだし餌付中はジャンプを見ず、雄に比し精彩を欠く。
〔外部処見〕水中生活に適した魚状形態の為か腹部の異常も目立たず、外陰部、乳房等部蓄変無く分娩の予知は難しい。
2、死産児発見後;雄は死産児より離れず、収益を計るも攻撃に出て近付けぬ為、餌を離れな水中に投じて雄を誘い雌を誘導しな。雌にはアトラキシン錠(トランキライザー)、カチーフ錠(ビタミン)を餌(アジ)に混じ与えた。胎盤はそのまま死体の側にあった。
(帯状胎盤)

3、死産児の測定;|
性別 雌 体重 7.5kg
全長 18cm (口吻より後肢(趾)先端まで87cm)
長尾 4cm (尾端より肛門まで6.3cm)
胸囲 44cm (腹部の太い部分は46cm)
頭部の太い部分(頭頂部→耳介→下顎角)33cm
(前肢)肘関節より第1指先端まで25cm
(後肢)肘関節(外趾)より第1脾先端まで17cm
陰茎2.5cm(陰茎骨を見る)
股間後縁より陰部まで8.7cm
臍帯根部より陰部まで9.5cm

4、胸器測定
心臓 75g 脾臓 20g
肝臓 511g 胸腺 16g
右肺 130g 左肺 128g
膵臓 24g 胃 64g
右腎 62g 左腎 59g

註当園のアシカは芸をさせて無い。

⑤　こうのとり 雌 9才 心臓出血
病名 栄養不良、竜骨突起、嘴乾燥
所属 神戸動物園
主なる病変所見
角質最外層は広く薄片状に剥離、右心冠部を中心に各心室心房に亘り不整斑状、点状、線状の新鮮な出血巣が心外膜下に多発、筋胃は砂が充満拡張、腸管萎縮肝及び門脈系に強いうつ血を示す。

⑥　エミュー 雌 6才
病名 穿孔性胃炎並に腹膜炎
所属 德島動物園
治療法経過等　急激の転機死亡に付き治療の施し様なし