動物舎の換気装置と構造改善について(抄)
発行年・号
1959-01-01
文献名
飼育下グラントシマウマの発情日数と発情周期
所 属
別府ケーブルラクテンチ動物園長
執筆者
小野新市
ページ
28
本 文
広島市安佐動動物舎の換気装置と構造改善について(抄)
別府ケーブルラクテンチ動物園長
小野新市
私は台湾に於ける豚の繁殖上換気装置が非常に必要であることを経験したが、その後動物園の動物飼育に於いても、同様の感を深くしている。
当園動物舎は昭和25年以降、全国著名動物園の動物舎をモデルとして新築したものであるが、中に、換気装置の不完全なものがあり、これが改善を行い好成績を得たので、参考のため2.3例を申しのべます。
(1) 当園サル舎はある動物園のものをモデルとしたが換気装置なく本年1月厳寒時、気温3℃程度下降した際室を密閉し温泉暖房装置により15℃内外に保温したところ、室内は不快臭ともう塵に満ち、キリンが翌日より食欲不振となったので、下方窓2ヶ所、上方窓4ヶ所を開けたところ3日目より快復、食欲旧に復した。
(2) 当園サル舎の半数は旧式なもので、屋根があり寝室狭溢で換気装置なく、昭和30年以降、換気不完全なるサル舎で発病斃死した主なものは次のとおり
オマキザル1頭、マーモセット4頭、リスザル4頭、パタスザル4頭、モナザル2頭、ベルベットザル3頭。
(3) カワウソ舎は昭和32年新築したもので水槽2方を厚硝子で囲み、水深80cmで排水孔が底より50cm上方にあり換水悪く、水温は、冬期5~6℃に下降する。カワウソは投餌の度に入水するが、水温下降と、水の汚染によって、4頭が出血性腸炎で斃死した。
その他アシカ舎の改造により好結果を得たがニシキヘビ「会も改築を希望している。
将来大部分の動物舎については特にベンチレーターの新設を計画している。